欧州メーカーからフォーミュラEへの参戦が続く理由と既存のモータースポーツ

以前から噂されていたとおり、メルセデス・ベンツとポルシェもフォーミュラEへの参戦を発表しました。アウディBMWも既に参戦を発表しています。日本勢ではホンダもフォーミュラEへの参戦が噂されています。日産の参戦に関する噂もありますが、ルノーとの関係があり今のところ不透明です。

一方でメルセデス・ベンツは2018年を最後にDTMから撤退するとのこと。F1については変わらずに力を入れるというようです。
ポルシェもWECのLMP1クラスへの今後の参戦について検討していることを明らかにしていましたが、大方の予想は2018年まで参加して撤退すると思われていましたが、2017年を最後に撤退と発表しました。
アウディも既にルマン24時間耐久レース、WECから撤退しています。既にポルシェとトヨタしか残っていないLMP1クラスなので、トヨタ2019年まで参戦を表明しているとはいえトヨタしかいなくなるLMP1は廃止となるのでしょうか?

このように、フォーミュラEはいつの間にか各自動車メーカーの主戦場たるモータースポーツになりそうです。モータースポーツにおいてもエンジンからモーターへの転換が起きています。

EVのため航続距離が短くて乗り換える

なぜフォーミュラEへの参戦が活発になったかといえば、EVだから、でしょう。EVを使うためフォーミュラEはこれまでのモータースポーツと較べていくつか特殊なルールがあります。その一つが車の乗り換え。

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フォーミュラEは電気自動車のためレース中にバッテリーが足りなくなります。エンジンを使ったモータースポーツの場合は給油を行いますが、フォーミュラEは給油の変わりに車を乗り換えてしまいます。ご存知のように充電は大変時間がかかるので乗り換えてしまえ!ということです。

来シーズンからはバッテリーが変更され乗り換える必要がなくなる予定です。乗り換えは、航続距離が短いEVの欠点を象徴するルールでしたが、これがなくなることは自動車メーカーとしても歓迎でしょう。これが各メーカーが参入を表明したことに繋がったと思われます。

既存のレースでは宣伝にも開発にもつながらない

自動車メーカーがモータースポーツにワークスとして参戦する目的は宣伝と開発の2つ大きな目的があります。しかし、既存のモータースポーツはこの2つの目的に対して、十分な成果が得られていないようです。

モータースポーツ勝利することはメーカーの宣伝になるはずですが、WRCでは4連覇中のVWが撤退しました。VWは撤退の理由の一つとして電動化への対応を挙げていました。EVへ以降が進む時期にエンジンを使ったモータースポーツでは宣伝効果も薄いと考えたのかもしれません。

宣伝効果でいえばニュルブルクリンクの最速タイム更新の方が大きいでしょう。特にFF最速はVW、ルノー、ホンダがしのぎを削ることで、お互いに宣伝になっています。

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レース活動で得られた経験を市販車の開発にフィードバックする、という大義名分も今では形骸化しています。現在のモータースポーツの多くは市販車をベースとしていません。市販車とは関係のない専用車を市販車へフィードバックするといっても、限定的でしょう。では市販車をベースにレースを行えばいいかというと、これも難しいものがあります。市販車をベースとしながらレースにも勝てる車種が必要になり、現状ではそういった車は売れません。

一方でフォーミュラEはEVの欠点である航続距離の短さから、レースであっても電費(燃費)のいい運転が必要になります。

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フォーミュラEでは出力を制限しつつ、ファンブーストという仕組みでレース中にリミッターの上限を緩和するなど、EVのメリット・デメリットをレースに組み込んでいます。

さらに、EV開発はまだまだ課題が多く、既存の自動車メーカーにとって生き残りのために不可欠であり、レースでの経験を市販車にフィードバックする余地はまだまだ大きいでしょう。

世界ラリー選手権は奮闘

先行き不透明な暗いニュースが多いモータースポーツですが、フォーミュラEを除くと唯一といっていいくらい活況なのが世界ラリー選手権です。

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トップカテゴリーは世界ラリー選手権とほぼ同じレギュレーションのグローバルラリークロスというのもあり、こちらも人気です。

アウディ、VW、フォード、シトロエンプジョー、スバル、ヒュンダイと様々なメーカーが参加しています。同一カテゴリーでこれだけ多くのメーカーが参加しているFIAのレースはこれだけではないかと思います。

世界ラリー選手権も市販車の名前を借りているだけで市販車とは別物ですが、レースの単純さと車同士がぶつかる過激さで人気があります。(実際に見たことがありませんが)爆音の豪快なレースはEVで置き換えることが出来ませんので、当分はこの人気が続くと思われます。

まとめ

日本の自動車メーカーもフォーミュラEに参戦しないと!