ピックアップトラックとランクルのEVにトヨタは社運を賭けている(はず)
全然話題になっていませんが、トヨタがピックアップトラックとランクルのEVを発表しています。
この2台は生産工程から変化する、トヨタの新しいEV戦略の魁となるはずです。
つまり、結構重要な車のはず。と考えています。
なぜかと言う前に、トヨタのEV戦略とその変更について。
トヨタはe-TNGAというEV用プラットフォームを開発しました。bZ4xがそれです。
このプラットフォームは従来の工場でも生産できる、混流生産を前提としたものです。
EV専用工場ではなく、既存の工場でEVを作りながら緩やかにEVへ移行しよう、と考えたのだと思います。
EV専用工場を新設するのは設備投資がかさみ、EV事業の黒字化が難しいと考えたのかもしれません。
しかし、その戦略では生産コストを削減できずテスラに勝てないと判断し、e-TNGAを使った混流生産はきっぱり諦めることになりました。
(トヨタはそこまではっきり発表していませんが)
混流生産が生産コストを削減できないかというと、無駄が多いからです。
EVは部品点数がぐっと少なくなるので、製造工程もぐっと少なくなります。
それなのに従来工場で混流生産していては、EVの部品点数が少ないメリットをまるまる捨てる形になります。
EV専業のテスラはそれがなく、既存メーカーに比べ製造コストを抑えやすい状況にあります。
それを作ったきっかけは、トヨタがテスラにただ同然で工場を譲渡したことにありますが。
テスラはともかく、トヨタはEVを作るならEV専用工場しかないと決断をしたようです。
その専用工場で作られる第一弾がレクサスのLF-ZCになりそうです。
LF-ZCなんて年間1万台も製造しないでしょうから、他にコンスタントに売れる車を作る必要があります。
それが、ピックアップトラックとランクルのEVです。
ピックアップトラックとランクルを選んだ理由は、コンスタントな生産台数が確保できて、設備投資の回収が計算できると判断したのではないかと考えています。
EVは工場も設計もEV専用へと舵を切ったのは大きな決断です。
e-TNGAは部品点数が少なくなるほどアイドルタイムが生まれるという矛盾があり、トヨタらしさが皆無だったので、今回の決断は当然でしょう。
トヨタが社運を賭けた、とまでは言えないかもしれませんが、EV戦略で大きく方向転換することを示していると思います。