ジムニーの違法改造と事故原因の可能性

北海道でジムニーのタイヤが外れて、幼い子どもに直撃したというニュースについてです。

ネット上で散々指摘されていますが、ニュースの映像を見ると、車検に通ることがない違法改造です
なぜ違法改造と言い切れるのかというと、軽自動車の規格を超える全幅と見られるからです

黄色のナンバーなので軽自動車で登録されていることは間違いありません
また、映像から後付のオーバーフェンダー、モールが確認できます
ジムニーに限らず、軽自動車は規格一杯の全幅なので、オーバーフェンダーをつける時点で軽自動車として車検を通ることはありません
したがって、違法改造といえます

一方で、リフトアップは恐らく構造変更を行い、車検が通る状態だったと思われます
ただし、令和3年に規制が変更されたため、現行のジムニーを使用した場合は、下部にバンパーを設ける必要があり(適合するバンパーが存在するのかはわかりません)、同様の改造では車検は通らないように見えます

私有地の防犯カメラに定常円旋回をしている様子が写っていたと報じられています
タイヤの跡を見ると、荷重がほぼ片側によっているように見えます
原因としては、ほぼほぼリフトアップとラテラルロッドの調整にあると思われます

motor-fan.jp



違法改造の場合、任意保険が降りない、被害者への賠償金が任意保険から支払われない、という意見をネット上でみかけます
しかし、任意保険は被害者救済の観点から、被害者には保険金は支払われます
ただし、保険会社は加害者に対して、保険金を請求する場合があるそうです
また、今回の加害者は違法改造のため、しばらくの間、任意保険に加入できない可能性もあります
ブラックリストは共有されるため、保険会社によらず拒否されてしまいます

今回の事故では、運転者が事故直前に、左前輪を確認している映像も残っていることから、異常に気がついていた可能性があります
これにより、量刑にどのくらい影響があるのかはわかりませんが、異常を認識したまま車を走らせることは大変に危険です

タイヤが外れた理由はわかりませんが、可能性の1つとしてワイドトレッドスペーサーが考えられます
ハブとホイールの間に入れるのがスペーサーで、タイヤを外側に出すために使われます
このスペーサーを入れると、振動が増えるためナットが外れやすくなるといわれます
スポーツ走行が目的でトレッドを稼ぐ場合、スペーサーを勧める方はほぼほぼいません
ホイールのオフセット、インセットを勧められると思います

一方で、ドレスアップのため、いわゆるツライチを求める方にはスペーサーを勧めるショップは多いかもしれません
しかし、スペーサーはセンターがずれやすくなりますし、振動が多くなりナットが外れやすくなります
また、スペーサーの分だけハブボルトの外側に力がかかるため、テコの原理が強くなり、折れやすくもなります

映像から、今回の事故を起こした車は、ワイドトレッドスペーサーは厚いボルトが付いているタイプとみられます
25ミリから30ミリ程度のものでしょう
タイヤも大径化されていますし、そのぶんハブに負荷がかかることになり、最悪の場合は破断し、やはりタイヤが飛んでいきます

今回の事故の原因の多くは、リフトアップによる調整不足とワイドトレッドスペーサーにあると思われます

スペーサーを入れて、車の状態がよくなることなど1つもありません
カッコいいと思うのも、ほぼ本人だけです
どうしてもという場合は、ホイールのインセットで対応すべきです
そもそもジムニーの場合、他の軽自動車と違い普通車のシエラがあります
シエラではなく、軽規格のジムニーを違法改造することにこだわる理由などあるでしょうか

違法改造に関しては、危険運転致死傷罪の適用があっても当然だと考えています
現在違法改造されている方のご意見があれば、ぜひコメントで教えてください。

豊田章男、スバルの展示に不満か

ジャパンモビリティショーに関連して、日本自動車工業会の会長として豊田章男がメディアとの会見と質疑応答の文字起こしをメディア2社が記事にしています。

1つはcar watchで、もう1つはベストカーです。
2つのメディアの記事で結構違うものだなと思った箇所があるので引用します。

まずはcar watch

──記事を朝からいろいろ掲載していますが、マツダのロータリースポーツ(「アイコニック SP」)はものすごい反応でした。
豊田章男会長:そういう意味では、スバルに水平対向の新しいのがということはどう思っているの?
──飛行機(「SUBARU AIR MOBILITY Concept」)ありました。
豊田章男会長:中島飛行機だしね。

car.watch.impress.co.jp


この部分がベストカーになると

記者/うちのサイトで(初日の段階で)一番人気はマツダロータリーエンジンを搭載したコンセプトカー(「アイコニックSP」)でした。「そういうクルマをもっと」ということですよね。
豊田会長/そうそう。スバルさんも水平対向エンジン車を出してほしかった(笑)。
記者/飛行機が出てましたよ。
豊田会長/ああそうか、飛行機がありましたね!

bestcarweb.jp


car watchの方が意味が取りにくい部分があり、car watchの方が手を入れていないオリジナルに近い状態なのかなと思いました。

ベストカー豊田章男に名指しで文句を言われることもあるくらい、ある意味で関係が良さそうなメディアですから、ベストカーは色々と丸めて記事にしているのかもしれません。

それはともかく、こうして2つを読みくらべてみるとスバルに対しては不満があるように思えます。
今回のスバルは市販前提のコンセプトカー、VIZIVがありませんでした。
代わりに、意図がよくわからないコンセプトカーだけです。

スバルは水平対向エンジンという特徴の強いエンジンにこだわってきたのだから、そのこだわりを見せて欲しいと思うのは当然の感想でしょう。
でも、もしかしたら、展示しなかっただけで水平対向エンジンを残すための製品の存在を知っていて、どうしてアレを展示しなかったのか、という豊田章男会長の不満が出た文字起こしなのかもしれません。

それは妄想が過ぎると思いますが、エンジンが一方的に悪者にされる状況にスバルも抗って欲しいという気持ちから、こういう応答になったのかなと思われます。

ピックアップトラックとランクルのEVにトヨタは社運を賭けている(はず)

全然話題になっていませんが、トヨタピックアップトラックランクルのEVを発表しています。

ランドクルーザー Se 画像はトヨタから
EPU 画像はトヨタから

この2台は生産工程から変化する、トヨタの新しいEV戦略の魁となるはずです。
つまり、結構重要な車のはず。と考えています。

www.youtube.com

なぜかと言う前に、トヨタのEV戦略とその変更について。
トヨタはe-TNGAというEV用プラットフォームを開発しました。bZ4xがそれです。
このプラットフォームは従来の工場でも生産できる、混流生産を前提としたものです。
EV専用工場ではなく、既存の工場でEVを作りながら緩やかにEVへ移行しよう、と考えたのだと思います。

EV専用工場を新設するのは設備投資がかさみ、EV事業の黒字化が難しいと考えたのかもしれません。

しかし、その戦略では生産コストを削減できずテスラに勝てないと判断し、e-TNGAを使った混流生産はきっぱり諦めることになりました。
トヨタはそこまではっきり発表していませんが)

混流生産が生産コストを削減できないかというと、無駄が多いからです。
EVは部品点数がぐっと少なくなるので、製造工程もぐっと少なくなります。
それなのに従来工場で混流生産していては、EVの部品点数が少ないメリットをまるまる捨てる形になります。

EV専業のテスラはそれがなく、既存メーカーに比べ製造コストを抑えやすい状況にあります。
それを作ったきっかけは、トヨタがテスラにただ同然で工場を譲渡したことにありますが。

テスラはともかく、トヨタはEVを作るならEV専用工場しかないと決断をしたようです。
その専用工場で作られる第一弾がレクサスのLF-ZCになりそうです。

global.toyota

LF-ZCなんて年間1万台も製造しないでしょうから、他にコンスタントに売れる車を作る必要があります。
それが、ピックアップトラックランクルのEVです。

ピックアップトラックランクルを選んだ理由は、コンスタントな生産台数が確保できて、設備投資の回収が計算できると判断したのではないかと考えています。

EVは工場も設計もEV専用へと舵を切ったのは大きな決断です。
e-TNGAは部品点数が少なくなるほどアイドルタイムが生まれるという矛盾があり、トヨタらしさが皆無だったので、今回の決断は当然でしょう。

トヨタが社運を賭けた、とまでは言えないかもしれませんが、EV戦略で大きく方向転換することを示していると思います。