ギガキャストは何がどう衝撃なのか
ギガキャストの衝撃は技術じゃない、という話です。
トヨタがギガキャストを採用すると宣言してから、トヨタを変えるほどのギガキャスト、ギガプレスがいかに凄いか、日本のプレス機屋や金属加工業者が今更驚いた、やっと気がついた、みたいな話しがありますが、技術的に驚いたのはずっとずっと前のこと。
技術より驚いたのは、テスラという製品が市場に受け入れられた方だと思います。
それはガラケーとスマホに似ていると考えています。
ガラケー時代に登場したiPhoneの驚きの一つは、ユーザーが壊れることを受け入れたことです。
ガラケーはとにかく頑丈でしたが、iPhoneなどのスマホは一度落とせば画面がバキバキに割れます。
最近のはそんなに簡単に割れませんが、ちょっと前まで割れた画面のスマホを使っている人は沢山いました。
ガラケー時代には考えられなかったことです。
すぐに壊れる製品が受け入れられることにガラケーメーカーは驚きましたし、受け入れられるはずがないと考えていました(特に日本の家電メーカーは)。
テスラの場合、すぐに壊れるわけではありませんが、修理費用が非常に高額になることが知られています。
アルミを多様しているため板金修理ができるところも限られますし、ちょっとした部品交換で100万円になったとかちょいちょい話題になります。
最近だと認定中古車を買って3年目で充電が不可能になり、バッテリー交換で230万円の見積もり、というやつです(230万円出してバッテリーを交換すれば90万円で買い取ると言われたそうです)。
こういった話題は定期的といっていいくらい話題になりますが、それでもテスラは世界中で売れています(日本ではたいして売れていませんが)。
最近話題が出てきませんが、アップルが車を作ると言われた時に、豊田章男は30年、40年面倒みる覚悟を持てと話しています。
アップルカーは発売されるのかわかりませんが、どう考えてもテスラにそんな覚悟はありませんし、今後もそんなことは考えないでしょう。恐らく、8年乗れば大往生くらいに考えているでしょう。
ユーザーもそれを知っていて、それでも売れています。
数年前から日本のメーカーだけでなく、既存の自動車メーカーはヘリテージを強調して、メーカー自らレストアをしてアピールしています。
しかし、30年、40年乗り続けたいと考えるユーザーは無視できるほどに少数です。
修理する時になって文句はいいますが、テスラの修理費用が高額であることが何度話題になっても購入するユーザーは増え続けています。
これだけ悪評が広がりやすい現代で、テスラの修理費用が高額であることが話題になりながらも、それでもテスラが売れていることこそ、ギガキャストの衝撃でしょう。