任意保険を使うか使わないかの判断基準

事故を起こしたけど任意保険を使わなかった、という話しを聞いたことがあると思います。事故のために高いお金を払って任意保険に加入しているというのに、なぜ保険を使わないのか?と疑問に思うかもしれませんが、確かに場合によっては任意保険を使わない方がいい場合があります。

任意保険についておさらいすると、

  • 任意保険を使うと等級が変わる
  • 基本的に3等級上がるので、3年間は使う前よりも保険料が上がる
  • 同じ等級でも無事故と事故ありでは保険料が異なる
  • 保険適用後3年間事故あり扱いになる
  • 自然災害や盗難、いたずらなどは1等級上がる

となります。保険を使うと3年間保険料が上がるので、値上がり分を考えると使わない方がお得になる場合がある、というわけです。

人身事故の場合

人身事故の場合は迷わず使うべきでしょう。軽い怪我に思えても治療が長引く(治療費がかさむ)可能性があるので、安心です。また相手側も安心でしょう。転んだ程度でムチウチもないのであれば治療費もそれほどかからないでしょうが、相手側からすると保険が使えるのに使わないというのは印象が悪いと思います。

人身事故の場合、加害者への処分を求めるかどうか警察が被害者に聞く(調書に書く)のですが、心証が悪いと軽い怪我であっても「処分を求める」となるかもしれません。そういった意味でも人身事故の場合は保険を使うべきです。

治療には自賠責保険が使えるので、運転者自身の治療しかないのであれば(手間はかかりますが)任意保険は使わないという判断もありでしょう。

物損事故の場合

物損事故の場合はケースバイケースで保険を使うかどうか決めます。

自分の車の修理は車両保険を付けていないと保険をつかえません。保険を使うことで保険料の値上がり分は年齢にもよりますが3年間で5〜10万円程度なので、修理代がそれを超えるなら保険を使った方が安上がりです。少しこすった程度ならば板金修理で10万円しないこともあるので、使わない方がお得でしょう。板金では対応出来ない場合はバンパーを交換しますが、新しいバンパーを塗装して交換する場合は10万円を超えると思うので、保険を使った方がいいかもしれません。ガラス交換の場合は社外品の安いものを使う場合は10万円は超えないと思いますが、純正と交換する場合は10万円以上するので使った方がいいでしょう。

物損事故で相手がいる場合は弁護士特約だけ使って、交渉を任せることが可能です。弁護士特約だけ使う場合は等級はかわりません。過失割合が低くなる場合は保険を使わずに弁護士特約だけで済ませる方が安くなる可能性はあるものの、相手がいる物損事故では極端に過失割合が低い場合を除けば保険を使った方が安くなりそうです。

等級が低い場合

修理費用が高くなっても等級が上がりすぎている場合は、次の契約が出来ない可能性があるので、20〜30万円程度なら保険を使わない方がいいかもしれません。

等級は一番悪いのは1等級ですが、1等級になると大抵の保険会社から新規契約は断られると思います。ということは、4等級の方が保険を使い1等級になると、次に任意保険の契約が行えない可能性があります。2等級でも契約できるか怪しいので、4等級、5等級の方は保険を使うかどうかよく考える必要があります。

等級をリセット、6等級に戻すには任意保険が切れて(解約して)任意保険に加入せずに13ヶ月経過すればいいので、1等級になるのを覚悟して保険を使い、13ヶ月間は任意保険なしにするのも手です。ただし、2度事故を起こした方が3度目の事故を起こす確立は高いので(統計的に事故を起こした方と比べると数倍事故を起こしやすくなることがわかっています)、13ヶ月間は運転は控えた方がいいでしょう。

どうしても運転する際は、カーシェアリングやコンビニなどで加入できる1日保険を使うといいかと思います。1日保険は等級が関係ないので、料金は変わりません。ただし、自分が所有する車や配偶者が所有する車には1日保険は契約できないので、使う車の名義を親などにする必要があります。

まとめ

よほど軽い物損事故でなければ基本的に任意保険は使った方がいい、と私は考えています。

任意保険を使えば、修理などの支払いがないので急な出費を抑えることが出来るので保険料の値上がりよりもそちらを優先する場合もあります。ただ、等級が低い方は、運転を止めることも含め、任意保険を使うかどうかよく考える必要があります。