ヤマハの水素エンジンはなぜインバンク排気なのか?

よくわからないヤマハのV8で5リッターの水素エンジンがお披露目されたようです。

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大々的なお披露目というわけでもないので、モータースポーツとしての可能性の一つを示したという程度でしょう。
何度か書いていますが、水素エンジンが市販車に使われることはないでしょう。
あくまでもモータースポーツや、ニッチな用途として使われる可能性があるかもしれない、現状ではそんなところだと思います。

インバンク排気の理由は?

エキマニがエンジンの上を回る特徴的なインバンク排気ですが、どんな理由があるのでしょうか?
パッと見では収まりが悪くなるだけのような気がするのですが、明確な理由があってそうしているものと思われます。
音をアピールしているので実用性を無視して音を極めたらそうなった、というのが一番高い可能性でしょう。
もしそれ以外にあるとすれば、排気ガス二酸化炭素を含まないので、排気ガスの比重は軽くなるはずで、そのため上から排気した方が有利になるのかなぁと思いましたがどうなんでしょう。
あとは水素エンジンはいかにエンジンを冷やさないかが重要になるらしいので煙突効果でなんだか上手くいくのかなぁとか。
一応、ユニット全体をコンパクトに出来るというのがメリットですが、それはターボが前提のように思えますし(BMWのV8クロスバンク型エキマニ、フェラーリV6などのホットV)、収まりの悪そうなエキマニをつけておいてコンパクトにしたいというのも変でしょう。
つまり、私にはインバンク排気を採用した理由はわかりません。

レースへ投入するなら

ミッドシップを想定しているとのことですが、LFAのようにFRだとマッドマックスに出てきそうなボンネットから排気する車になりそうです。
それはそれで面白いと思うので、トヨタにはドラッグレースに参加してみてはどうかと思います。

排気ガスはほぼ水蒸気のはずなので、寒い日だと白くなると思うのでD1などのドリフトだと見栄えはしそうですが、テールトゥノーズで周回するモータースポーツだと視界が悪くなって危ないのでは?なんて気がしないでも。

現実的にはトヨタが採用してル・マンで投入、なんて可能性は十分にあると思います。
LMH、というハイパーカーのクラスでは出力の制限はありますが、排気量の制限はないのでV8の5リッターは現状の水素カローラから想像すると出力としては丁度いいくらいだと思われます。
ル・マンに投入するのであれば水素カローラよりもスピードが出るので水素ボンベの安全性の面でどうかが問題になるのかなと思います。
ル・マンの他だとパイクス・ピークはなんでもありだし給油もないので投入はあるかなと思いますが、VWが持つ記録の更新は難しいでしょう。

まとめ

モータースポーツの可能性として水素エンジンはあり得ると思います。やっぱりエンジンの音がした方が面白いでしょう。
ただ、F1の場合、実際にF1マシンが走ったことで排出した二酸化炭素はF1全体が排出する二酸化炭素の数%でしかないそうです(チームの移動などによる排出する二酸化炭素の方が圧倒的に多いため)。
二酸化炭素排出量が厳密に可視化されるようになり、モータースポーツのマシンが走行したことで排出する二酸化炭素は問題ないよね、なんて日が来るのであれば徒花に終わってしまうのかな(二酸化炭素排出量の可視化よりもイメージの方が重視されると思いますが)。

テスラのModel 3を5年乗った時のコストはカムリとあまり変わらない?

テスラが5年間で6万マイル(96500km)走行した場合のコストを算出しています。
https://www.tesla.com/ns_videos/2020-tesla-impact-report.pdf
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画像はPDFの34ページになります。
テスラのモデル3、トヨタのカムリ、BMWの3シリーズとの比較です。
モデル3はSR+とありますが、これはStandard Range Plusという最も廉価なモデルです。
カムリも燃料代が3シリーズとほぼ同じなのでハイブリッドではなく2.5リッターの4気筒と思われます(日本には導入されていません)。恐らく3シリーズも最も廉価なものでしょう。
モデル3は1マイルあたりのコストが0.55ドルということで6万マイル走行時のコストはトータルで3.3万ドルとなりますが、モデル3の車両が4万ドルくらいなので車両代はリセールで引いているのでしょうか?(車両代が減価償却分になっているのでリースかリセールを引いた額だと思われます)
テスラとしては保険を除く運用コスト、燃料代(電気代)、タイヤなど修繕費がカムリの半額だとアピールしているようです。
ガソリン代と電気代の差は大きく目を引きますが、修理費用などのコストはカムリとそれほど変わりがないのは少し意外です。
よく電気自動車は部品点数が少ない、雇用が失われると言われますが、製造段階だけでなく運用中も交換が必要となる部品は少なく安上がりです。
オイル交換もありませんし、回生ブレーキを使用するためブレーキパッドの減りも少なくランニングコストはだいぶ低くなりそうですが、カムリとモデル3で大きな差がありません。
車重がかさむため同じ程度の大きさの車ならタイヤ代はかさむと思いますが、それでも差が小さい気が。
テスラというと製品管理の甘さが度々指摘されていますが、そのせいで修繕費がかさんでいるのかもしれません。
テスラがアピールするランニングコストが約半分というのもカムリのハイブリッドならそこまでの差は出ないでしょう(車両代が高くなりますが)。
日本とアメリカではガソリン代、電気代がかなり違いますが、BEVもハイブリッド並のコストで10万kmを走られると言えそうです。
テスラのバッテリーは管理が上手いため劣化は少ないと言われますが、5年から8年、10年となった時のランニングコストがどのように変化するのか興味があります。

フォックスコンは電気自動車に何をもたらすのか

台湾の鴻海、フォックスコンが電気自動車を発表しました。

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鴻海が完成車メーカーとしての参入を目指しているのか、部品メーカーに留まるのかはよくわからないのですが、今後も電気自動車部品への参入は相次ぐものと思われます。
ただ、鴻海などスマホやパソコンなどで名を挙げたメーカーがどこまで強みを活かせるのかについては疑問が残ります。

その理由は自家用車のスマート化はそこまで浸透するのかという点。
いわゆる白物家電のスマート化も進められていますが、それほど普及していない印象があります(単純に安い家電とバルミューダやダイソンのようなこだわりの二極化しただけでスマート化は蚊帳の外という印象)。
10年前よりも明らかにスマート化が進んだ家電となるとテレビくらいでしょうか。
テレビのスマート化はスマホタブレットの延長線上といった形であって、スマホタブレットの延長線上に自家用車があるとは思えません。

ただ、上の記事にも挙がっているパーソナライズについてはカーシェアリングでは有用に思えます。
例えばChromebookAndroid端末とのペアリングが可能です。ChromebookからAndroid端末を操作せずにテザリングが可能になっているのですが、同じようなことはカーシェアリングで可能になるかもしれません。
例えば、カーシェアリングの車のダッシュボードにスマホを置くとその人好みのエアコンやオーディオが設定されるといった具合に。
ミラーの角度やシートの位置も調整してくれると助かります。
では、これらの機能が自家用車でも必要かというと、別になくていいかなと思えます。
とても大きな市場を得られるとは思えませんし、部品メーカーというよりもグーグルやアップルの仕事が大半かなと思われます。

ソニーもEVを一台作ってみせましたが、こちらはセンサー類とエンタメを消費するためもので明確でした。

もちろん、私が考えたところで鴻海のような超優秀なグループが実際に考えているようなことは想像すら出来ないのでしょう。
何か考えがあってのことで、どういった電気自動車が生まれるのか楽しみです。