EV(があまり普及しない)対策は高速道路の上限速度引き上げ

中国ではかなりのスピードでEVが普及しています。これは中国政府のEV政策や、EVにはエンジンもトランスミッションも不要なので新規参入しやすい、などの影響があるかと思われます。もちろんEV化の流れは中国だけでなく世界に広がり、年々EVのシェアは増えるものと考えられます。

しかしながら、EVは完全無欠ということはありません。デメリットもあります。現状、普通のエンジンを使った車やHV、PHVに対するEVのデメリットは航続距離と最高速度の2つがあります。

航続距離の短さはバッテリーの大容量化や急速充電設備の増強で実用的にはそれほど問題ないと思われます。しかし、最高速度については(実用性を重視すると)現状では如何ともし難いものがあります。

EVはモーターで動かしますが、モーターは回り始めたところからトルクを発揮するためトランスミッションを必要としません。一方で、回転数をあげるとトルクが細くなるため、高速域ではEV不利、逆にエンジンが有利となります。

そのため市販のPHVは時速100km程度まではモーターで、それ以上はエンジンを使って走行します。また、ルマンを走るLMP1もハイブリッドですが、低速域はモーターのみで加速して高速域はエンジンのみとなります。というわけで、EVで高速度を長距離運転するのは難しいのが現状です。

EVにもトランスミッションを搭載して高速域もなんとかしようという考えはありますが、ただでさえ重いEVにトランスミッションを搭載しても、という考えもあります(EVの場合2速でも十分なので通常のトランスミッションと比べるとずっとコンパクトにすることは可能だとは思います)。なので、街乗りと割り切りきった最高速度が低いEV、実用性を多少スポイルしても問題ない高級EV、高速道路も問題ない実用性重視のPHV、というような住み分けが予想されています。

日本やドイツの自動車メーカーが中国の新興EVメーカーに対抗するのであれば高速道路の上限速度を引き上げるのがいいのではないかと思います。上限速度が上がることでエンジンの優位性がしばらく残るので、EV一辺倒にはならずに日本やドイツのメーカーも新興EVメーカーに対抗できるでしょう。その間にEV開発を進めるということで。上限速度のないアウトバーンがあるドイツでEVはどのように捉えられているのか気になるところです。

思っているよりもずっと早くEVやPHVは普及する(世界的には)

  • ポルシェは2023年までに全体の半分をEV(たぶんPHVを含めて)
  • ホンダは2030年に4輪の3分の2を電動化(たぶんEVとPHV)

という目標を表明しています。

既に中国では2016年にEV、PHVが50万台以上売れていて(全体で2800万台なので2%に満たないものの)、かなり広まっています(ちなみにプリウスPHVの月間販売目標が2500台なので中国でのEV、PHVの浸透具合は想像以上です)。
富士経済の予測では世界的には通常の2020年を過ぎる頃にはハイブリッドよりもEVとPHVの方が売れ、2025年頃にはハイブリッドよりもEVの方が多くなると予想されています。ちなみにPHVは2030年頃もハイブリッドを超えない予想です。

このように、かなり早いスピードで電動化が進むものと考えられます。この背景には欧州や北米の排ガス規制と、中国メーカーがEVをどんどんと作っていること、などがあります。日本でも過疎地域のガソリンスタンド不足、という消極的な理由からEVが広まることが期待されています。

日本ではアウトランダーPHVが先行していますが、このシステムを日産も導入すると言われています。ただし発売は少し先の2019年。日産はEVのリーフの新型が今年の9月に発表されますが、PHVよりもEV重視なのかもしれません。

日本で唯一売れているアメ車のジープは次期ラングラーにPHVを用意しているとされます。年内に発表、発売は2018年の予定です。売れているレネゲードにも投入が期待されます。

エンジンが売りであるBMWは一方で電気自動車のi8、i3など、実はEVやPHVに力を入れているメーカーでもあります。これらはテスラよりも販売台数が多いのだとか。

BMWのPHVは既に530e、330e、225xe アクティブ ツアラーなどがあります。BMWはガソリン車に対する価格差がそれほど高くないので、選択肢としてはありかもしれません。

開発中の次期X3は1.5リッターの3気筒エンジンを使ったPHVが用意されるそうです。MINIもクーパーS E クロスオーバーというPHVを日本に投入しましたが、これも1.5リッターの3気筒エンジンを組み合わせたものなので、X3のPHVはこれと同じシステムになるのでしょう。ちなみにMINIのPHVはディーゼルエンジンの近いグレードよりも少し安い値段設定です。


日本ではハイブリッドは予想よりも早く普及しましたが、それ以降のPHVやEVの普及が進みません。国内メーカーももうちょっとPHVやEVの選択肢を増やさないと置いていかれる可能性があるのでは?

追記

www.afpbb.com

2040年までにエンジンで走る車をやめる、というフランスが発表。自家用車はともかく、2040年までに大型のトラックもEVに置き換わるのかどうか気になります。

response.jp

大型トラックは燃料電池車になる、と書かれています。

新しいアイサイトは運転支援とは言うものの自動運転

夏のレヴォーグ、WRX S4のマイナーチェンジでアイサイトが新型に更新されます。新型アイサイトはレベル2の自動運転相当ですが、スバルは自動運転ではなく、あくまで運転支援としています。
ちなみに、現在のアイサイトはVer.3.0ですが、新型は4.0ではなく”アイサイト・ツーリングアシスト”という名前になります。4.0は2020年頃投入予定で、カメラだけでなくレーダーを併用するとされています。こちらは車線変更が可能になるとのこと。

www.subaru.jp


レベル2の自動運転は準自動運転とされ、操舵、加速、制動のいずれか複数を自動制御が可能な状態を指します。日産の新型セレナのプロパイロットやテスラのオートパイロットは自動運転レベル2としています。新型アイサイトもこれらと同等の機能と思われますが、スバルは自動運転ではなく運転支援と位置づけています。自動運転とはいえど、レベル2の場合は事故が起きた場合は運転者の責任となります。

新型アイサイトの変更点

車線中央維持機能は従来タイプが時速60kmからでしたが、新型では時速0kmからに。また上限は時速100kmから120kmとなっています。時速0kmからとなっているので、停止後もそのまま追従が可能になり渋滞時の運転が楽になりそうです。
従来のクルーズコントロールはアクセルとブレーキのみでしたが、車線中央維持機能でハンドルも自動に。高速道路ではハンドルに手を添えておくだけでよいことになります。

先行する車の減速、加速に対するレスポンスの向上。レスポンスが向上することで加減速がスムーズになりそうです。先行車の加減速に対する反応が早くなったということで、衝突被害軽減ブレーキについてもこれまで以上のものになっているでしょう。

国産車では初めてとなる後退時自動ブレーキシステムの搭載。車止めのない駐車場などではありがたい機能です。この機能により車両保険が下がるかもしれませんね。

新型アイサイトはかなり進化していると思われますので、レヴォーグとS4はマイナーチェンジを待つ方が絶対にいいでしょう。新型プラットフォームに新型アイサイトの組み合わせが今のところないのは残念ですが、この組み合わせは2018年といわれるフォレスターのフルモデルチェンジで実現しそうです。

日産プロパイロットとの違いは?

スバルが運転支援としていますが、日産はプロパイロットを自動運転と謳っています。
セレナに搭載されているプロパイロットは動作範囲が時速30~100kmとなっています。時速30km以下でも先行車がいる場合は動作が可能ですが、いない場合は車線維持機能は動作しません。

www.youtube.com


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この比較を見る限りでは自動運転を謳うプロパイロットよりも実用性は高そうです。

まとめ

スバルは運転支援としていますが、高速道路では自動運転という感じで使えそうですね。

ぶつからない車を作れ アイサイト開発秘話

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