BYDの軽EVが売れないとすればリテラシーが低いから
BYDの軽EVに関するリテラシーの低い与太記事についてです。
EVの車両火災リスクは凄く低い
色々ツッコミどころがありますが、多くの方が気になるであろうEVの車両火災について。
記事では
世界最大のバッテリーメーカー、CATLの会長が昨年中国で開催された「2024年世界動力電池大会」において、「2023年のEVは、1万台に対して0.96台は火災が発生する可能性を抱えている」と明言した。
とあります。
アメリカでの車両火災は
ハイブリッド車 (HEV): 10万台あたり約3,475件
ガソリン車 (ICEV): 10万台あたり約1,530件
電気自動車 (EV): 10万台あたり約25件
Data Shows EVs are Less of a Fire Risk than Conventional Cars | Office of Environmental and Energy Coordination
くらいで、実際のところEVの車両火災リスクは従来車よりずっと低いです。モーターやバッテリーと比べるとエンジンはずっと高温になるので火災リスクが減るのは当然です。
少し前のデータなので、CATL会長の発言はむしろEVの車両火災リスクは減っていると捉えるべきでしょう。
テスラは台数あたりだけでなく、走行距離あたりでもEVが最も火災リスクが低いと主張しています。日産は自分のとこのEVはバッテリーが出火したことはないとアピールしています。
ただし、EVは燃えた時に消せない問題があります。消火のための水の使用量が半端ないので地域によっては大きな問題ではありますが、日本に限定すれば水の使用量が問題になるかは微妙でしょう。
ちなみに日本では、平均すると1日に10台くらいの車両火災が起きています。フェラーリやランボルギーニが燃えると全国ニュースになりますが、毎日燃えているのはニュースバリューのない普通の車です。
BYDディーラーの火災原因
中国でBYDディーラーの火災が起きていることについてです。
2021年から2024年にかけて、ディーラーで10件の火災が起きているようです。火災原因に関して、BYDはバッテリーからの出火ではないとしています。ディーラーの建屋から出火している映像もあります。
しかし、そんなの隠しているだけだろって言われたら、その可能性はあるでしょう。
ただ、BYDが採用するリン酸鉄リチウムバッテリーは600度程度までは安定なのでバッテリーから発火した可能性はやはり少ないと思います。
ディーラーで起きている火災の原因をバッテリーの発火の可能性があるという主張は真実相当性は弱いと私は考えています。
BYDの軽EVは売れるかもしれないし、売れないかもしれない
売れるのか、売れないのかに関して評価は難しいと思います。
BYDが採用するリン酸鉄リチウムバッテリーは寿命がかなり長いので、EVの弱点である寿命の短さに関してはそれほど心配しなくてもいいでしょう(ただLFPの特徴は日本市場に十分に伝わっていません)。
もう一つ、EVはリセールバリューがすごく低い欠点もあります。EVというだけでなく日本では知名度の低いBYDとなるとリセールバリューに関してはほぼゼロくらいの覚悟をしたほうがいいかもしれません。
ちなみに、使い古した初代リーフはバッテリーだけで20~30万円くらいの価値があり輸出されたのですが、中古EVには価値がないと買い叩かれているのが現状です。
また、使用済みEVバッテリーは再使用、再資源化されないというのもほぼほぼ嘘です。リチウムイオンバッテリーの回収が面倒なのは確かですが、バッテリーメーカーは力を入れて取り組んでいます。
とはいえ、価値があろうが中古EVの買い取りは期待できませんので、BYDの軽EVを買うなら15年とか20年かけて使い潰す覚悟がいいのかなと思います。
(ハブベアリングとかブッシュなどが10年持つのか、交換時に必要な部品が手に入るのかは全く知りません、BYDの軽EVは日本専売の可能性があるので部品の入手性は気になります)
あとは、VtoHが可能ならそれ目当てはありです。
都市部、特に東京では売れる可能性は十分にある
好燃費化によりガソリンスタンドは年々減り続けています。
ガソリンスタンドがなくなっている場所は過疎地、それに東京です。
東京のガソリンスタンド減少ペースは全国平均を上回っており、配達用の軽貨物は今年から順次EVに切り替わっていきます。
軽貨物の割合は地方よりも東京で多く、軽貨物がEVに移行することで都心のガソリン需要は急激に減少すると予想されています。
つまり、東京のガソリンスタンド減少ペースは加速します。
ガソリンスタンドだけではありません。東京都は平置き用だけでなく、機械式用の充電設備も(上限はありますが)全額補助しています。
EV車両への補助金も東京都は高額で、金銭的にもEV移行しやすい地域です。
東京はEVが普及しやすい環境(ICEの利便性が失われていく環境)に向かっているので、BYDだけでなくEVが普及率が加速する可能性は高いと言えるでしょう。
まとめ
車両価格は補助金をあてにしても国産EVは割高ですが、BYDだとちょっと高め、維持費を考えるとBYDならハイブリッドと同程度、というのが現状です。
軽EVに関しては日産のサクラがライバルと考えると、ICEよりもトータルで割安になる可能性は十分にあります。
また、自家用車の利便性はどんどん変化しています。
航続距離とか長距離移動した時の充電環境でみられがちですが、実際のところガソリンスタンドは減る一方なので、日常利用のために遠出をして給油する状況になってもおかしくありません。
前述したように都心では確実にそうなります。給油に往復1時間かかる、そんな状況が増えていきます。
給油に往復1時間かけるなら10時間かかっても手間のかからない充電の方が便利だと考える方も多いでしょう。平均的な自家用車が稼働しているのは1日1時間程度ですから。
