アメリカ車が日本で売れないのはしょうがないけど、自動車関連で貿易赤字はいっぱい作っている

トランプ大統領が日本でアメリカの車が売れないのは不公平だ!という発言が話題です。確かにアメリカの車は日本では売れていません。原因は日本市場向けにローカライズされたものが販売されないことに尽きると思いますが、きちんと確認したいと思います。

日本国内での外車のシェア

都内では新車売上台数の16%が外車となっていて、山手線の内側は約半分が外車と言われます。日本全体で見れば、都内ほど外車が沢山売れているというわけではありませんが、外車のシェアは既に9.0%になっていて、ディーラーは10%まで行ける!と息巻いています。国内全体でもセダンにおいては国内メーカーは苦戦していて、アウディ、ベンツ、BMWのドイツメーカーが売れています。軽自動車やワンボックスは国内メーカーがほとんどなので、トヨタもホンダも日産もワンボックスや軽自動車ばっかり力を入れ、セダンは国内向けの5ナンバーサイズはどんどん減り北米向けの全幅1800mm以上のものが増えています。

www.jaia-jp.org

ここで確認すると日本から撤退したフォードは確かに売れていません。フォードの日本での販売台数はBMWの1割、ポルシェとそれほど変わらない程度です。フォードもフォーカスやフィエスタがゴルフ並に売れたらまた違ったのでしょうが、この辺はフォードといってもアメリカで作っていないと思うので売れたところでトランプ大統領の意図するところではありませんが。

自動車部品ではアメリカに対し貿易黒字

日本はアメリカからの自動車に輸入に関税をかけていません。0%です。一方アメリカは35%となっています。そのため日本メーカーはアメリカ向けの多くはアメリカ国内の工場で生産しています。全部がアメリカ国内で生産しているというわけではなく、日本からの輸出もあり2015年は自動車だけで約4.6兆円もあります。

自動車ほど額は大きくありませんが、自動車部品も沢山輸出しています。ご存知のように自動車産業は日本の基幹産業といえますが、それは自動車メーカーだけでなく、部品メーカーあってのものです。

JAPIA 輸出入統計


ここで確認してみると北米への自動車部品の輸出は北米からの輸入額を大きく上回っています。

アジアへの輸出額は北米よりも2割から3割ほど多いものの、輸入額もかなりあり、トントンとまでは言えませんが輸出額と輸入額の差はそれほど大きくありません。一方で対北米は輸入額は輸出額の約1割程度と、アメリカ側からみて1.6兆円の貿易赤字となっています。自動車や自動車部品だけをみるとアメリカは日本に対しい大きく貿易赤字を出しているといえます。ちなみにアメリカの貿易赤字全体は約50兆円で、その9%が対日本だそうです。

非関税障壁

TPPを批准する際に軽自動車の優遇が見直されるのでは?と言われていました。軽自動車は日本だけの規格で、外国メーカーの参入が難しいからです(各国に税的に優遇された規格がありますが軽自動車ほど参入しにくい規格はないでしょう。逆に言えば軽自動車は海外で販売しにくい日本限定の車なので、軽自動車の規格をAセグメント程度に緩和するという案が業界から挙がっているとか)。

フォルクスワーゲンのUP!やフィアットの500など、いわゆるAセグメントに分類される車種の中には軽自動車とあまり変わらないサイズのものでも自動車税は一気に高くなります。5ナンバー自家用の軽自動車は10800円に対し1リッター以下の普通車は29500円と一気に高くなります。

軽自動車という制度は国内メーカー優遇の非関税障壁であるとしてTPP以降は軽自動車の税金も上がるかと思いましたが、アメリカはTPPに参加しないことになったので、軽自動車も安泰でしょうか。

軽自動車の他にもう一つ、自動車重量税非関税障壁というわけではありませんが批判のある税金です。二重課税になっているので廃止すべしと言われています。自動車関係の税金は大きく見直しが行われるかもしれません。

まとめ

トランプ大統領がどこまで本気で発言しているのかわかりませんが、少なくともアメリカ国民の多くはアメリカで日本の車が沢山走っているのに、日本でアメリカの車が売れないのは不公平だ!と考えているのではないかと思います。実際に対日貿易赤字の原因の多くは自動車関連にあるので、アメリカ人としてはハッキリと言われるとそうだそうだ!となるのかもしれません。

完全対訳 CDつき トランプ大統領就任演説

完全対訳 CDつき トランプ大統領就任演説

最近の変速機事情

最近の車は非常に変速機が複雑です。ATの多段化やモーターの併用などもあり機構的にもどんどん複雑なものになっていることもありますが、車種やグレードによって採用する変速機の種類が変わっているので乗る側も特徴を知っておく必要があります。

法律的にはマニュアルとオートマの2種類だけ

変速機の種類は大きく分けるとマニュアルとオートマの2種類。法律的にはマニュアルトランスミッション(MT)はいわゆる3ペダル、アクセル、ブレーキ、クラッチペダルの3つがついたものを指し、オートマッチックトランスミッション(AT)はクラッチペダルがない2ペダルのものを指します。

オートマにはトルコンAT、CVT、2ペダルマニュアル、があります。なので、一般的にATと呼ばれるものもCVTもどちらも法律上同じATとして扱います。クラッチペダル操作の必要がない2ペダルマニュアル、DCT、 DSG、EDC、AGSなどメーカーによって呼び方が異なりますが(これらをセミオートマ、ロボタイズドMTと呼ぶ方もいます)、これらも法律的にはATに含まれます。もちろんクラッチペダルのいらない2ペダルであればAT限定免許で運転することが可能です。

いわゆる普通のオートマとCVT

一般的にATと呼ばれるものはトルコンAT(トルクコンバーターを略してトルコン)というものです。トルコンというものがMTのクラッチに相当します。トルコンやクラッチはエンジンの回転をギアボックス(トランスミッション、変速機)につなぐためのものです。

一方でCVTはトルコンがあったりなかったり。元々はCVTにトルコンはついていませんでしたが、現在販売されている国産車CVTはたぶん全部トルコンが付いています。2ペダルマニュアルと呼ばれるものにはクラッチがあるのでトルコンはありません(厳密にはホンダがトルコン付きDCTというのを作っています)。トルコンやクラッチ周りはハイブリッドの介入もあり、非常に複雑になってきていて正直よくわかりません。トルコンはCVTにも使われることが一般的なので最近ではトルコンATではなくステップATと呼ぶことが増えているようです。

CVTはトルコンATともMTとも違いギヤを切り替える必要がありませんので、変速ショックがありません。これはCVTのメリットです。一方で、アクセルの踏み込みに対するダイレクト感が弱く、人馬一体と形容されるような感覚は得られません。また出力の大きなエンジン用CVTの製造は非常に難しく基本的には小型車向けです。大型スポーツカーにはCVTは基本的に採用されませんし、スポーツカーのような乗り味を求める方にはCVTは敬遠されがちです。

2ペダルマニュアルも複雑

2ペダルマニュアル(ロボタイズドMTと呼ばれたり、一定の呼び方がありません)の方はエンジンと変速機をつなぐためにクラッチがついています。2ペダルマニュアルは大きくわけて2種類あります。シングルクラッチ(AGS)とデュアルクラッチ(DCT)です。名前の通りクラッチが1つなのか2つなのか、その違いです。当然クラッチを2つ使うデュアルクラッチの方が大きくて高価なので、そういう車種に使われます。シングルクラッチのものはスズキが軽自動車に採用するくらいなので小型で安価なものもあります。

では、どうしてデュアルクラッチにするのかというと、一つは変速ショックが少なくなるからです。1速の次に使う2速をもう一方のクラッチを使い、3速にする時は1速で使っていたクラッチを使う、という風に交互にクラッチを使うため変速が早く、スムーズに行えます。出始めの頃はそれでも不自然さがありましたが、最近のものはエンジンの回転数を適切なものに自動でコントロールするなど人間がクラッチを操作するMTよりも素早くスムーズに繋がります。

AT限定免許でも運転は出来ますが、2ペダルMTはATと同じ感覚で運転できません。トルコンATの特徴にクリープ現象がありますが、これはトルコンに由来しています。では、トルコンのない2ペダルMTはクリープ現象が起きないのかというと、そんなこともなくクリープ現象を再現しています(厳密には2ペダルMTでもクリープ現象を再現しないものもあります)。それだけクリープ現象が便利で馴染んでいるということですね。

今後は多段ATが中心に

CVTや2ペダルMTはトルコンATに近い操作感が得られるようになり、トルコンATが減るのかというとそうでもなさそうです。CVTや2ペダルMTはATに取って代わると言われたこともありますが、ATの多段化によりむしろATが主流になりそうです。

スズキ新型スイフトは小型車ながら6速ATを採用し、中型セダン(日本では大型セダンとよべるサイズですが)のトヨタ新型カムリは8速ATを採用しています。さらにトヨタはFR向けに10速ATも開発しています(レクサスLC、昔でいうソアラに採用されます)。ちょっと前なら4速ATも珍しくありませんでしたが、トルコンATなら6速あって当たり前という状況ではCVTのメリットも弱く、欧州車で使われることが多い2ペダルMTも一部を除いてATに置き換わると予想されています。

多段化したATの変速ショックの少なさ、燃費向上、運動性能の向上など、CVTや2ペダルMTでは敵わないという感じです。2ペダルMTは高級スポーツモデル、CVTは軽では残ると思われます。車を選ぶ時はATなら何速まであるのか、ライバル車と比べることもこれからは必須かもしれません。

会社の車で事故を起こしたら修理代を払う必要がある?

会社の営業車で事故を起こしたら修理代が請求された、なんて話しを聞くといかにもブラック企業という感じがしますが、必ずしもそうではありません。条件はありますが、会社は社員に対し損害を請求することは認められています。

まとめ

損害額の25%程度を上限として会社が従業員に対して修理代を請求することは可能
ただし、同意のない天引きは法律違反(口約束も同意となるので要注意)
過失が少ない場合は減免も認められる(裁判で)
高額になる場合は弁護士に相談すべき
故意の場合は厳しい

以下説明

仕事中の事故の場合、運転していた社員の重過失が原因であれば会社側は修理代等を請求することは法的に問題ありません。これは社用車に限られたことではなく、会社の備品や機械類を故意に、もしくは重大な過失により壊してしまうと社員にはその賠償責任があります。
一方で、会社側は社員に備品を使わせることで営業が可能になっている、稼いでいるので、壊れることも織り込み済みであるべし、という事にもなっています。
そんなわけで、社員が備品を壊しても全額請求は出来ない事になっています。

賠償額や割合について具体的な数字が法律で決まっているわけではありませんが、これまでの判例からは25%が上限とされています。金額は青天井方式なので事故を起こして1億円の損害を与えた場合は2500万円請求される可能性はあります。ただ、あまりにも高額な場合は裁判などにより減免される可能性は高いので実際にはそこまで高額にはならないものと考えられます。
車の事故の場合、全損で車両評価額100万円の損害に対し25万円を請求される、というケースはあり得ます。ちなみに、損害額の支払い方法として給料からの天引きがありますが、天引きは社員の同意が必要ですので、勝手に天引きされるという事は本来あり得ません。
勝手に天引きされていた、となれば然るべき所へ相談する必要があります(いわゆる口約束であっても同意したことになりますが、いざという時に言った言わないとなるので書面にサインする事が一般的です)。

実際には会社の営業車もなんらかの任意保険に入っているケースがほとんどで、事故を起こしたとしても請求されない事の方が多いかと思います。また支払う必要があったとしても、それほど高額になることはないと思います。
ただし、法人向けの任意保険は免責(自己負担)が10万円程度となっており、それを支払うというケースは多いようです。

事故時の対応は会社の規定により異なりますし、重過失かどうかという点もあり、会社の車で事故を起こしたからといって、必ずなんらかの支払い、自己負担が必要になるというわけではありません。
また賠償が必要になったとしても自己負担は最大25%までしか認められていません。もし会社側から25%を超える高額な請求をされた場合は労働組合や弁護士に相談すれば、すぐに解決するかと思われます。