Appleが車を作るとどうなるのか?

少し前から出ていたAppleがKIAと協業するかもしれない、というニュースが話題に。

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そもそもAppleはどうして車を販売したいのでしょうか。
一つは自動運転関連市場への参入。
Apple自身は恐らくセンサー類の設計などは行わないでしょうから、ソフトウエアでの参入になるでしょう。
ただ、それだけなら直接AppleCar(仮)を作る必要はないような気もします。もちろん自動運転初期は自動運転に必要なセンサー類やソフトウエアは汎用部品とはいかず専用となるでしょうから、ベースとなる車から直接関わることは必要なのかもしれません。
しかし、Appleが車への参入を試みるのは自動運転が主の目的ではないと考えています。

ソニーの場合

自動車メーカー以外だとソニーも自動車に関心を示しています。既にヨーロッパでの公道でテスト走行を行う程度のものを作っています。

www.sony.co.jp

ソニーAppleとは違い自動運転に使えるセンサー類の製造もしているので、そういったものの開発をより進める狙いもあると思いますが目的はそれだけではありません。
他の自動車メーカーや部品メーカーとソニーの決定的な違いはエンタメコンテンツ、音楽や映画、ゲームなどを保有していることです。
ソニーのコンテンツを自動車内で消費してもらう、ソニーのコンテンツで囲い込むためにヴィジョンSで研究を進めているようです。
ヴィジョンSは自動運転ではありませんが、自動運転になればエンタメを楽しむ個人空間として大きな場となることは間違いないでしょう。

コンテンツを持っているのはソニーだけでなくAppleも同様です。Appleも恐らくはソニー同様にコンテンツをApple経由で消費してもらうため今回のニュースに繋がったと思われます。

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最初のAppleCarはタクシー?

AppleCar(仮)は数年後には販売したいようですが、一般向けに販売されるかどうかはわからないようです。一般向けというよりも、企業向けに販売するのではないかと言われています。
ではどんな企業へ向けて販売されるかというと、恐らくはタクシーではないかと思われます。
タクシーであれば自動運転ではなくても利用者は運転をする必要がなくコンテンツを楽しむ余裕がありますし、トヨタがJPNタクシーを使ってやっているような走行データの収集も可能でしょう。
もちろんタクシー会社もAppleCarを採用することで客に選ばれやすくなるなどのメリットもあるでしょう。

KIA以外にも?

報道によればApple側は最初はKIAではなくヒュンダイにオファーしたそうですが、ヒュンダイ側には不満があるのかヒュンダイ本体ではなくヒュンダイより廉価となる傘下のKIAでよければと受け入れたとされています。
Apple側はヒュンダイやKIAだけでAppleCar(仮)を作るわけではなく将来的には様々なメーカーで作ることも視野にあるようで、そうであればヒュンダイが嫌ったというのも頷けます。
EVにより部品点数は少なくなり既存の自動車メーカー以外の参入が増えるとは以前から言われていますが、既存メーカーのノウハウの蓄積はEVでも活きるでしょう。
そういったものをAppleにやすやすと取られて捨てられては困る、とヒュンダイは考えているのでは?

水面下ではApple以外も既存メーカーに接触しているところはあると思うのですが、庇を貸して母屋を取られる、そんな警戒があるでしょう。
正直、既存の自動車メーカーがAppleと協業するのは私は意外でした。ヤマハのような4輪車への進出を伺ってたところならあるのかもと考えていました。既存メーカーにはそれほどメリットがあるとも思えないので(二酸化炭素排出権取引くらいでしょう)。

まとめ

基本的にAppleの狙いは自動運転が前提だと思われるので、自動運転がいつ実現するのかでAppleCarの影響度は変わるかなと思われます。
とはいえ、Appleヒュンダイ、KIAとの交渉はまだまだ決定したわけではないようなので続報を待ちましょう。

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