車重が重くても二酸化炭素排出量が減ればいいのか問題

カリフォルニア州2035年からガソリンエンジンの乗用車、トラックの新車販売を禁止する方針を示しました。

jp.reuters.com

国ではなく州というのが面白いなと思います。
カリフォルニア州の方針に対しトランプ政権は批判しているようです。トランプ政権が行ってきた自動車製造業の国内回帰に水を差すことにもなりますし、エネルギー政策にも大きな影響を与えるでしょう。

2035年までの電気自動車への完全移行ですが、私は無理だと考えています。

車重の環境へ及ぼす影響を軽視しすぎている

道路がめやくちゃ痛む

カリフォルニア州の方針はトラックもEVへということなので、車重がめちゃくちゃ重くなります。
トラックは単純なEVではなく燃料電池車(FCV)になると思いますが、それでも車重はかなり重くなります。
車重が重くなるとなにがまずいかと言えば、道路が痛みやすい。場合によっては橋などは架け変える必要が出てくるでしょう。
1トンの車が2トンになるより、20トンの車が21トンになる方が道路に与えるダメージはめちゃくちゃ大きいらしいので、道路整備の計画は大きく影響を受けると思われます。
2035年に向けてEVが増えるであろうカリフォルニア州の道路全てを確認して修繕、もしくは新しくすることが可能かどうかわかりませんが、大仕事になるでしょう。

積み荷が減る

日本の場合、車両総重量が最大でも25トンですので車重がかさむと積み荷の量を減らす必要があります。

wired.jp

この記事には積み荷の量が3割減らす必要があるとしてあります。
同じ量の荷物を運ぶために1.3倍のトラックを走らせたら意味があるのかな?ということになってしまいます。
(FCVならそこまで積み荷を減らす必要はないと思われますが、それで2割程度は減らす必要があると思われます。また充電時間が必要になるため稼働時間が短くなり、トラックの台数を増やすことになるかもしれません。最終的にカリフォルニア州全ての車をEVにした場合、全ての車を夜に充電することは難しいのではないかと予想しています。一方でトラックの電動化は発進時がスムーズになり交通全体が排出する二酸化炭素量削減に大きく影響すると予想されます)

マイクロプラスチックが増える

車重が重くなるとタイヤへの負荷も高くなります。タイヤへの負荷が高くなるとその分沢山のタイヤが削れて、それがどこかへ飛んでいくことになります。
削れたタイヤが最終的にどこに集まるかというと、海ではないかと見られています。

natgeo.nikkeibp.co.jp

というわけでEVは海洋中のマイクロプラスチックを増やすことに繋がりそうです。

死亡事故が増えるかもしれない

細かいところだと、人身事故における死亡率が高くなるのではないかと予想しています。
EVは車重がかさむため同じ速度で事故を起こしても衝突時のエネルギーが大きくなります。物理法則なのでどうしようもありません。
基本的に車の事故は当たり勝つことで被害を減らせますが、当たり負けする方は被害が大きくなります。
車対車の事故の場合、同じサイズでもEVと衝突すると相対的に軽いガソリンエンジンの車は当たり負けして被害が大きくなります。
車対人の事故は車重はかなり大きく影響なり、助かっていたケースが助からないことも出てくるでしょう。

まとめ

積み荷の減少による非効率化に関してはどうしようもありません。
マイクロプラスチックの増加については全固体電池が実用化されても避けることは出来ないと思われます。これは無視されるでしょう。
死亡事故についてはEVが増えていくことで死亡率が高くなるのかどうか明らかになるでしょう。
では、EVへの移行は意味がないのかというと、全く意味がないということはないと思われます。
ただ、EVであれば何も問題ないという姿勢は全くの本末転倒です。
私は自動車が与える環境負荷評価を二酸化炭素排出量に偏重し過ぎであると考え、車重への課税をもっと細かく極端に重み付けした方がいいと考えています。