ついにEVがパイクスピーク総合優勝を狙えるかも

パイクスピークでフォルクスワーゲンがEV最速ラップを狙っています。

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パイクスピークというのは山登りレースですが、標高2,862mから頂上まで標高差1,439mを駆け上がるというメチャクチャなレースです。
様々なクラスがありますが、アルティメットという制限の(ほぼ)ないクラスが名物です。過去にはエンジンを前後に2つ搭載した車もありました(モンスター田嶋のカルタスやエスクード)。そのくらいレギュレーションがゆるいクラスです。

レギュレーションが緩いならより大きなエンジンを積めばタイムが出るのでは?という気もしますが、そう簡単ではありません。というのも、標高が高く、ゴールに近づくほど酸素が薄くなるため平地でのレースとはだいぶ違うそうです。進めば進むほど大きなエンジンは重りになってしまいます。

一方でEVの出力は酸素濃度(大気圧)に依存しないのでパイクスピークではEVが最速タイムを更新するのでは?と言われていましたが、現在のところ、EV最速タイムは8分57秒とまだまだです。といっても、これもずいぶん速いのですが、現在までの最速タイムは驚異的です。

パイクスピークでの最速タイムは2013年のプジョーによる8分13秒です。ドライバーはセバスチャン・ローブでした。

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パイクスピークはこの前年、2012年に頂上まで全てが舗装路となり、2013年からスリックタイヤの使用が認められました。路面状況とスリックタイヤの組み合わせで2013年がもっともタイムが出やすかったといわれ、その後は明らかに最速記録更新を狙う勢力がなくなりパイクスピークがちょっとつまらなくなってきました(頂上まで舗装された時点でつまらなくなった、という意見も沢山あります)。プジョーは最良のタイミングを狙ってタイムを出したのは間違いないでしょう。

フォルクスワーゲンが参戦予定の車はパワーウエイトレシオが2013年のプジョーに近いものになっているので酸素濃度によるハンデがないと考えればEVでもプジョーの記録に近いところまで狙えるかもしれません(最高出力は報じているサイトによってかなり差があるので全然かもしれません……)。
といっても標高が高くなることでバッテリーが冷えて出力が落ちるかもしれませんし、パワーウエイトレシオが同じなら車両重量が軽い方が有利でしょうから車重の重いEVはまだまだかもしれません。

とは言え、エンジン勢の気合と比べEVはガチ勢が増えてきました。この辺でEVによる初の総合優勝でまたパイクスピークが注目される切っ掛けになればと思います。