Uberの自動運転による死亡事故の原因は?

Uberの自動運転での人身死亡事故に関して、地元警察が映像を公開しました。

これを見る限りでは全く反応せず、ノーブレーキで追突しています。
これは歩行者を全く検知できなかったんだ、と考えてしまいますが、必ずしもそうとは限りません。

検知したものを無視しないと進めない

というのも、自動運転の実験で使われるセンサー類が検知した何かの多くを、ほとんどを無視してもいいものと判断するためです。
道路脇の歩道を歩く人や自転車、街路樹や建物、信号や標識など、車の近くにあるものは無数にあり、それら衝突の危険がないと判断したものを無視する必要があります。
センサー類が感知した何かに対し全てブレーキをかけると前に進めません。アイサイトも雪で誤作動する、なんて事もありますが、無視をしていいものと無視できないものを上手く判断できるかどうかは自動運転の実現に向けた大きな課題です。

Uberの実験車両はLiDARと呼ばれるレーザーを利用した検知システムを使用しているとされるので、映像よりも肉眼よりも早く歩行者の存在を検知しているはずです。ただそれが歩行者なのかどうか、衝突の危険があるのかどうか正確に判断することが難しいのです。

目の錯覚により起こるコリジョンコース現象(十勝型事故)は現状の自動運転でも衝突を避けることが可能かもしれません。一方で、人間なら誰もが問題である状態を自動運転が対応できない可能性もあります。少なくとも現在の開発状況では難しいのでしょう。

もしかしたら、Uberは地図情報を元に無視するものと無視しないもの、条件をわけているかもしれません。こんな道路を横断する歩行者はいない、という仮定で無視したのであれば、実用化にはまだまだ遠いでしょう。

過積載?

また、ノーブレーキで衝突しているように見えますが、もしかしたら直前にブレーキを作動させたかもしれません。しかしブレーキの効きが弱すぎた可能性も考えられます。

現在行われている自動運転の実験では、センサー類の情報を処理するためのパソコンをトランクに目一杯積んでいると言われます。Uberの今回の事故はボルボのXC90というSUVですが、これにパソコンやバッテリーを沢山積んでいて、過積載のような状態だった可能性があるかもしれません。
安全性能の確保に加えEVやハイブリッド化により年々車重が増していますが、さらに自動運転のための装備でブレーキやタイヤの性能が追いついていないのだとしたら本末転倒です。
ちなみに、自動運転のボトルネックの一つが実験で収集したデータの処理にあります。実験台数を増やしてデータを集めても、その処理に時間とコストがかかりすぎて意味がないのだとか。

夢はまだ先

原因がどこにあるのか今のところはわかりませんが、自動運転の実用化はレベル4であってもまだまだ先になるように思えます。

追記

jp.autoblog.com

この記事の写真は実際に事故を起こした車両と思われますが、バンパーは落ちていないし、ボンネットはそれほど曲がっておらず、時速約60キロで事故を起こしたようには見えません。国産車とはずいぶん考え方が違うのでしょう。
自動運転を実験する車両について歩行者保護の観点で見直した方がいいのでは?車重が軽く、ボンネットが高すぎず、しっかりと長さがある中型のセダンなどを使用した方が、万が一の際に死亡事故ではなくなるかもしれません。