いずれ車の運転は野蛮な行為に分類される

自動車産業は大きな変革期にあります。一つはエンジンからモーターへの転換、もう一つが運転支援や自動運転です。
中でも自動運転は自動車産業だけでなく、自動車の使い方が根本から変わる可能性が高いと考えられています。

完全な自動運転、ハンドルもブレーキペダルもない人間が運転に関与しないレベル5の自動運転が可能な車はユーザーが購入するのではなく、レンタカーのように使われると考えられています。
というのは、現在の自家用車の稼働時間は非常に短く、走っている時間よりも止まっている時間の方がずっと長いわけです。自動運転が出来るのであればドライバーは不要、タクシーのように走り回っている方が効率的というわけです。

稼働率が上がり走行距離が長くなるので現在とは異なり数年で廃車となるでしょうが、そちらの方が最新の自動運転技術の恩恵を受けられるメリットがあります。このメリットは乗る人、利用する人だけでなく、事故が起こりにくくなることで歩行者なども事故に巻き込まれるリスクが減るという形で受けることが出来ます。

それでもレベル5の自動運転を自家用として所持する方ももちろんいるかとは思いますが、現在より所有率は少なくなるでしょう。

レベル5の自動運転が普及するにつれ自家用からレンタル・シェアに変化するだけでなく、交通事故がどんどん減っていくでしょう。現在でもアイサイトのような衝突被害軽減ブレーキは追突事故を減らし、任意保険料が割り引かれるくらいです。自動運転になれば事故が減るのは間違いありません。

自動運転が普及するほど交通事故の原因は人間の運転に集中するでしょう。そうなると、人間が運転する車は危ない、という認識が生まれるはずです。

喫煙率が高かった時代はうるさく言われることも少なかったタバコは、喫煙率が低くなるにつれ匂いだけではなく健康被害の観点からも肩身が狭くなっているように見えます。

車の運転も同じで「人の運転でなければ、自動運転ならあの事故は起きなかった」と考えられる時代が来るでしょう。タバコよりも自動車事故の方が目に見える大きな被害になりますから、タバコよりも厳しい目で見られるはずです。

自動運転ではなく自分で運転することに拘る車好きは野蛮な人と考えられる日がいずれ来るでしょう。