ヤリスとフィットの比較、雑感

toyota.jp

www.honda.co.jp


ヤリスはとにかく普通の車を求めたのかなぁという印象です。全体的に高いレベルの普通を示したトヨタベンチマークフォルクスワーゲンのゴルフに相当する車にしたいのではないかと思います。

フィットの特徴は運転席の視界でしょう。フロントガラスを支えるAピラーが細くなったため死角が少なくなり運転している時の安心感があります。
またフィットは人気のクロスオーバー風のスタイルが最初から用意されています。ヤリスは後から投入すると予想されていますが、現在のところどんなものになるのかまではわかりません。

ホンダのハイブリッドはe:HEVという名前が付いたもので、時速100km程度まではモーターで走ります。この時のインバータの音が結構大きな音なので(トヨタのハイブリッドよりずっと大きな音です)、独特な音なので気になる方はすごく気になると思います。
ただ、エンジン音は小さいので、運転している時は気になるほどでもないでしょう。

デザインは好みが分かれそう

ヤリスのデザインですが、最新モデルとしてはヘッドライトの吊り目具合とフロントグリルの彫りの深さは珍しく独特の路線です。
一方で流行りのツートーンが似合うデザインになっています。取ってつけたようなツートーンが多い中で、最初からツートーンを意識したデザインは軽自動車を除けばヤリスくらいじゃないかと思うくらいです。
彫りの深いフロントグリルは好みが分かれそうです。欧州車っぽいと捉えれば女性からも支持されそうですが、どうなることか。

フィットは前モデルがカクカクとした感じから一転して柔らかい感じになりました。カクカクのデザインの先代は女性顧客からの評判が悪く、かなりノートに流れてしまったという噂です。
柔らかい物腰になったことで男性顧客からの評判がどうなるか気になるところですが、男性向けにクロススターを用意したのかもしれません。

燃費はヤリス

燃費はヤリスハイブリッドのWLTCモード燃費36.0km/Lで圧勝です。ヤリスハイブリッドは二酸化炭素排出量でEVと同程度とされます(製造時の二酸化炭素排出量や車重による環境負荷を考えるとEVよりも優れている可能性は十分にあります)。
フィットはe:HEVのハイブリッドモデルでもWLTCモード燃費で29.4km/L。同じホンダの二回り大きいセダン、インサイトとそれほど変わらない数字。e:HEVは優れたハイブリッドシステムですが、小型車との相性は厳しいのかなと思われます。

乗り心地

ヤリスはトヨタ渾身の新開発3気筒エンジンを採用しています。今後、このエンジンは他の車種にも採用されるはずですが、ヤリスとの組み合わせが最適解でしょう。
トヨタらしい汎用性を重視したものではなく、本当にトヨタの自信作なんだろうという感じがあります。
ヤリス、フィット共に車重が軽めなので、ハイブリッドの方が車重が重くなり乗り心地は良くなります。
ヤリスもそんな感じがありますが、フィットは欧州車のイメージで仕上げたそうです。ホンダもやはり気合が入っているというか、キャラクターをハッキリとさせたかったのでしょう。ハイブリッドは欧州車に近いがガソリンモデルは車重が軽いせいか少し落ちるようです。
フィットと乗り心地で比較するならシトロエンのC3でしょうか。
乗り心地は車重が重くホイールベースが長い車にはどうしたって敵いませんので、乗り心地を最重視する場合は、(サイズと燃費が気にならなければ)インプレッサを検討して欲しいところ。

後部座席はフィット

後部座席はフィットの方が広くなっています。少しサイズの大きいノートと同程度で、フィットはこのクラスでは最大と考えて間違いありません。
一方のヤリスは後部座席は少し狭く、使い勝手はフィットに軍配が上がります
ただ後部座席の使い勝手を重視する場合はスライドドアを採用したホンダのフリード、トヨタシエンタが視野に入ります。フリード、シエンタは全高が高いためタワーパーキングなど立体式駐車場に入らない場合が多くなる点には要注意。
アクアも来年頃にはフルモデルチェンジすると予想されているので、トヨタで後部座席が広いコンパクトカーでタワーパーキングにも対応したものを、という場合はアクアの動向を待つのも一つかと。

自動ブレーキなどはフィット

非ハイブリッドのヤリスにはアイドリングストップ機能がありません。それはいいのですが、信号待ちでブレーキペダルから足を離して前車追従機能で発進、みたいな使い方はヤリスハイブリッドでも出来ません(今後のマイナーチェンジでもヤリスの非ハイブリッドには渋滞追従機能は付かないのかなと思います)。
対してフィットのクルコン、ホンダセンシングには渋滞追従機能があります。都市部での利用が中心なら、渋滞追従機能のあるフィットの方が楽だと思います。

細かいところ

4WDに関してはヤリスの方が上かもしれません。ヤリスの4WDはリアサスペンションがダブルウィッシュボーンと、FFモデルとは別の形式になっていて、販売前の試乗では4WDモデルの方が評判がよかったようです。
フィット、ヤリス、どちらもいわゆる生活四駆ですので、性能は似たようなものと思われます。
ヤリスは4WDの方がやけに豪華になっているので、4WD前提ならヤリスかなぁと(寒冷地ではフィットのe:HEVのバッテリーが少し心配というのもあります、バッテリーに関しては次シーズンの冬になるまで使い勝手はよくわからないままかと)。

他の競合、ノートとアクアは1年後にフルモデルチェンジ

ノートが2020年にもフルモデルチェンジすると予想されています。e-POWER専用モデルとなる可能性も。
現状では日産のe-POWERよりもホンダのe:HEVの方が完成度が高く、また技術的に上回るという話もありません。どうしてもノートのフルモデルチェンジを待つ理由はないかと思います。
トヨタはヤリスは世界的に売る車で日本国内のウケが悪くても、その分はアクアでフォローする考えのようです。
内装や外装、後部座席など、アクアではヤリスよりも国内ユーザー向けに仕上げるという噂ですので、あと1年程度待てる方はノートのフルモデルチェンジとあわせ、待つのも手かと。

まとめ

普段、一人か二人でしか乗らないならヤリスを選んで後悔することはないでしょう。ちょくちょく後部座席を使う方や、渋滞に巻き込まれがちな方はフィットを検討した方がいいです。
あとは見た目で。
正直、10年前と比べたらどちらも凄くいい車で、5年ちょい前くらいの車と比べると迷いがなくキャラクターのはっきりした感じがあります。