イギリスのガソリン車新車販売禁止はブラフ

イギリスが2035年以降、ガソリンやディーゼルエンジンのみの車、さらにハイブリッド車の新車販売を禁止するというニュースが話題です。

www.newsweekjapan.jp

元々は2040年以降禁止を目指していたものを2035年に前倒する形になります。
恐らく、電気自動車(EV)、水素燃料電池車(FCV)、プラグインハイブリッド(PHV)のみ、ということだと思われます。
私は何年か後には撤回すると見ています。というのも、2035年では実現が難しいと予想するため。
実現が難しい理由の一つは電気の確保、もう一つは小型化と価格。
基本的にバッテリーで走る車は大きいものほど有利で、現状では小型車はEVに向いていません。そのため極端に航続距離が短い小型EVをそこら中で充電出来るようにして使う、なんてことも想定されていますが、可能なのは都市部だけです。
さらに車両価格も現状ではガソリン車の倍近く。
日本で考えてみると、軽自動車や軽トラをEVに置き換えるのは無理です。
これまでにもガソリン車、ディーゼル車の新車販売禁止を打ち出した国はありますが、撤回や法的拘束力のないもので留まっています。
現状、実現する見込みがないからです。

問題は他にもあります。
変なことを言うと、EVは海水中のマイクロプラスチックを増やす恐れがあります。
EVは車重が増すため大きく太いタイヤが必要になります。海水中のマイクロプラスチックはタイヤに由来するものが大部分だという主張もあり、重い車重によりタイヤの負担が増すEVは海水中のマイクロプラスチック量を増やすと言えるでしょう。
さらにEV製造時に排出される二酸化炭素量は大量のバッテリーのせいで従来車よりも多くなります。
jafmate.jp

バッテリーの技術革新があれば可能、なのかもしれませんが現状では不透明です。実現可能な目標としては燃費規制(二酸化炭素排出量規制)が妥当でしょう。
www.nikkei.com

ただ、これも製造時の二酸化炭素排出量を扱わないので、手落ちといえますが。

というわけで、ガソリン車やディーゼル車の新車販売禁止というのは短絡的であります。
恐らく、イギリス政府もそんなことは理解していて、二酸化炭素排出量削減が目的というよりもEV関連工場の誘致や(自動車メーカーのロビー活動を誘い)自動車工場や部品工場などのイギリスからの流出阻止を目的としているのだと思います。
なので、数年後には撤回すると考えています。