走行税が検討されているのは確かかもしれないけどデマもある

導入が検討されると言われる走行税ですが、Twitterなどでは理解が浅いというかデマみたいなものも多いように思えます。

走行税とは

走行税というのは走行距離に対して課税するものです。これまでは走行距離=ガソリン消費量でした。ガソリンにはガソリン税が課税されているので実質的に走行距離に対して課税されているのが現状です。
ガソリン税は、以前は道路特定財源として主に道路整備に使われていたので、受益者が負担するという意味ではわかりやすい税金でした。
では、なぜガソリンではなく走行距離に対して課税するのかというと、電気自動車の存在です。
EVの場合、ガソリン税の負担がないため、ある意味道路のタダ乗りみたいな状況が生じています。
受益者が公平に負担するなら走行距離に応じて課税したらどうか、というわけです。
したがって、走行税が適用される場合、ガソリン税は廃止するのが妥当かと思われます。

1kmあたり5円はデマ

ただ、そういった議論があるのかというと国のレベルではまだ行われていないようです。
いわゆる有識者会議の議事録を探しましたが、そられしいものは見当たりません。
なので、「走行税は1kmあたり○○円で検討」みたいなのはデマだと考えています。

ちなみに、国土交通省の統計によると自家用車の年間走行距離の平均は1万km程度です。
仮に走行税が1kmあたり5円となった場合、一年間で平均5万円。
平均燃費が16km/リットルの場合、ガソリン消費量は625リットル。
ガソリン税は53.8円なので3.4万円くらい。
なので、ガソリン税が廃止されても1kmあたり5円の走行税が課税されると負担は増えることになります。

車両重量と走行距離に課税すべき

これまでにもちょくちょく書いていますが、私は車に関する税金は車両重量と走行距離に対して課税すべきだと考えています。
車両重量も走行距離も道路に対する負荷に関係するからです。
時流としては二酸化炭素排出量に対しても課税することも必要でしょうから、燃料に対しても課税は必要かもしれません。しかし排気量や登録年数に対しては言いがかりみたいなものだと考えています。
現在の車にまつわる税金は複雑になりすぎているので、抜本的な見直しは必要で、見直すのであれば走行税は妥当だと考えています。

走行税は地方切り捨てなのか

私も地方在住なので自家用車頼りの生活はわかります。
一方で車の所有は貧富の差を拡大する要因になることが研究でわかっています。
そして、日本は居住面積あたりの自動車台数が欧米と比べて飛び抜けて多く、だいたい100倍以上。人口密度を考えても恐ろしく自家用車が多いのが現状です(当然、国民一人当たりの二酸化炭素排出量も多い)。
これは、日本ではそれなりに人がいる地方でも自家用車を重視していることの現れです。
その結果、日本の地方は欧米と比べて自家用車のせいで苦労していると言えます。

日本国内で自動車が沢山売れたからこそ、自動車産業が大きくなったのは確かですが、現在の日本の状況を考えると、自家用車はもっと減らすべきでしょう。
自家用車頼みの生活こそ地方衰退の根本原因です。
走行税に反対するよりも、乗り合いタクシーの規制緩和や路線バスの参入障壁を下げるなど自家用車に頼らない仕組み作りの方が大切ではないでしょうか。