高齢者が乗り降りしやすい自動車選び

両親が年を取り車の乗り降りが大変になったので、それに見合った車に買い換える、なんて話を聞くことがあります。高齢者はただ立ったり座ったりだけでも大変そうですが、車の乗り降りはもっと大変です。そこで乗り降りのしやすさ、シートについて少し。

車の形状

乗り降りの際は開口部が広いこと、低床、つかむ部分があること、この3つが揃っていると高齢者でも比較的乗り降りがしやすいようです。力が弱くドアの開閉が難しい場合は電動スライドドアがあると便利です。スライドドアは開口部が広く作られているものがほとんどなので、スライドドアの有無を基準にしてもいいかと思います。ただ、スライドドアの場合は降りる時につかむ部分が少ないので、その点はちょっと気にした方がいいと思います。こういった条件が揃いやすいのはミニバンです。小さい子どもでも乗り降りが出来るように低床になっているものが多く、ほとんどがスライドドアを採用しています。

シートの形状

深いシート、柔らかいシートよりも浅く堅いシートの方が腰の負担が少なく、高齢者は楽なようです。バケットシート、セミバケットシートは堅い点はいいのですが深すぎです。後部座席に深く沈むシートを採用しているものもありますが、高齢者向きとはいえません。深くて堅いシートには腰の部分にクッションなどを当てることで対応できますが、柔らかいシートの場合は対応が難しいので、まずは柔らかさに注目してはどうかと思います。

これまでの経験だとドイツ車や意外なことに軽自動車の安っぽいシートの評判がいいように感じています。

シートの高さ

最近はモーターアシストの関係でシート下にバッテリーなどを積載するなどの影響でシート位置が高くなっている車が少なくありません。少しシート位置が高い方が運転しやすいのですが、高齢者の乗り降りとなるとあまりにもシート位置が高いものは問題があります。

車の乗り込み方には足を先に入れる方とまず座ってから体を押し込む方と2パターンあります。シート位置があまりにも高いものは後者のタイプ、座ってから体を押し込むやり方が出来ません。高齢者の場合は先にシートに座ってから足をいれるやり方がほとんどですので、シートの高さはすぐに座れる程度になっているものがいいでしょう。

またシートの高さは低い方が乗りやすく高い方が下りやすい、という矛盾した関係にあります。低すぎるシートは乗りやすくても降りにくい(立ち上がりにくい)ので注意が必要です。

まとめ

高齢者と一括りにしても、足や腰の状態や体格など様々ですので、実際に乗り降りして試してみるほかありません。どうしても乗り降りが難しい場合は、助手席が回転する福祉車両トヨタのウェルキャブなど)の検討もありでしょう。

ところでトヨタは新型タクシー専用車両を開発中ですが、高齢者の乗り降りがしやすいものになるそうです。

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いずれは、タクシー専用車両の開発からフィードバックを得た車が出るものと思われます。トヨタにはユニバーサルデザインを標榜したラウムという車がありましたが、ポルテに統合されました。もう一度ラウムのようなコンセプトの車に期待したいところです。