比較すると見えてくる、新型スイフトはこんな車
スズキは新しいプラットフォームを採用したスイフトを発売しました。フルモデルチェンジしたスイフトは以前よりも後部座席が広くなり、ライバルとなるコンパクトカーに近いものになりましたが、それでも独特な存在です。
スイフトはこんな車
スイフトは二代目から欧米で通用するコンパクトカーを目標に開発され、調整されています。日本では室内空間を広くとり快適装備を備えたコンパクトカーが人気ですが、ヨーロッパでは必ずしも室内空間の広さを重視せず、走りやすさ走行性能を大切にします。そのため国産コンパクトカーと比べると少し尖っているというか、個性が強いかもしれません。
スイフトを競合するコンパクトカーと比べた時の特徴は
- 前席優先で後部座席はあまり使わない
- 快適性能よりも低価格を重視
- 燃費はあまり気にせず走行性能を重視
にあります。
ホンダのフィットは後部座席を広くとっています。トヨタのヴィッツはスイフトほど走行性能は気にせず燃費がよくバランスを重視。マツダのデミオはスイフトに似たキャラクターかもしれません。
新型スイフトもこれまでの路線を継承しつつ、スズキお得意の軽量化により燃費の向上や走行性能が向上しました。
軽量化のメリットとデメリット
フルモデルチェンジしたスイフトの一番の特徴は車体重量にあるでしょう。スズキは軽自動車のアルトから車体の軽量化に取り組み、スイフトでもその成果が発揮されています。車両重量はグレードにもよりますが900kg前後と1トンを大幅に切っています。ライバル車といえる各社のBセグメントは、コンパクトカーはヴィッツが1000kg、フィットが1020kg、デミオは1030kgといずれも1トン程度なので、スイフトは100kgも軽く作られています。
軽量化したことのメリットはなんといっても燃費です。また動き出しにも軽量化は効いています。最近ではハイブリッドが多くなっているので発進時はモーターのアシストがあり、発進時がスムーズな車が増えていますが、軽量化によりモーターを使わなくても出足が軽くなっています。
一方で軽量化したことの弊害が乗り心地に出ています。一般的に大きく重い車は乗り心地がよく、小さく軽い車は乗り心地が悪くなります。大きく重い車の方が高級だから、というだけでなく、段差などの影響を受けにくいからです。スイフトは欧州車をベンチマークとして作られているので、元々日本車らしくない乗り味でしたが、軽量化により日本車メーカーのBセグメントとは雰囲気の違う乗り心地になっています。
新型は室内空間が広くなった
これまでのスイフトの一番の弱点は後部座席の狭さ、荷室の狭さにありました。最近の軽自動車よりも狭いくらいの、大人がやっと乗れるような昔の軽自動車のような感じでした。ライバルであるホンダのフィットは後部座席もかなり広くなっているのと比べると、スイフトは後部座席は緊急用と割り切るほかありません。しかし、フルモデルチェンジにより後部座席が若干広くなり、相変わらずフィットやノートと比べるのは厳しいのですが、ヴィッツやマーチ程度にはなりました。
スイフトに限らずスズキの車はブレーキにクセがあります。ブレーキの効きがいいというか、一気にブレーキがかかるというか。各社Bセグメントの制動距離をテストしたものがあればいいのですが、見つからないのでハッキリとしたことはわかりませんが、感覚的にはスズキは制動距離が短い、万が一の時の急ブレーキで止まる可能性が高いのではないかと思います。スイフトは軽量化したこともあり、ブレーキの効きは従来よりもよくなっているでしょう。
他のコンパクトカーと比較すると
グレードによってはアイドリングストップがない
スイフトは価格重視のため今では当たり前ともいえるアイドリングストップが付いていないグレードがあります。排気量が小さかったり、モーターのアシストが弱い車ではアイドリングストップが少し邪魔くさく感じることもありますがそんな時はアイドリングストップ機能を切ればいいので、必要ないということはなく付いている方がいいに決まっています。
燃費は特別よくない
ついにヴィッツにもハイブリッドが設定されましたが、JC08モードの燃費でヴィッツハイブリッドは34.4kl/l、フィットハイブリッドは36.4km/lと非常に燃費性能が高いのですですが、スイフトはハイブリッドを採用したグレードでも27.4km/lにとどまります。スズキはカタログ燃費と実燃費が近いことが有名ですので、実燃費ではカタログほど差はでないと思いますが、それでも燃費に関してはフィットなどには敵わないでしょう。
バレーノとの違い
スイフトと競合するのは他社のコンパクトカーだけではありません。スズキはスイフトに近いサイズのバレーノというコンパクトカーがあります。バレーノはスズキがインドで製造しているコンパクトカーで日本にも輸入されているグローバルモデルですが、シャーシやエンジンなどスイフトと共用しています。そんなバレーノとスイフトの違いですが
といった感じです。
バレーノはエンジンが1リットルターボか1.2リットルNAですが全幅1745mmの3ナンバーサイズとなっています。スイフトは同じエンジンを使用していますが全幅1695mmの5ナンバーサイズに押さえてあります。室内寸法は若干ですがバレーノの方が幅が広くなっていますが、高さはスイフトの方が余裕があります。
同じエンジンを使いますが、バレーノはインドで製造していることもあり1リットルターボエンジンはハイオク仕様になっています。スイフトは国内で製造するため1リットルターボエンジンはレギュラー仕様に変更されています。また、スイフトは4WDを選ぶことができます。
まとめ
スイフトのネガティブな面ばかり書いてしまった気がしますが、走りは他のコンパクトカーとは違うものでその魅力は唯一無二のコンパクトカーです。また他社と比べると若干安めで値引きも期待できそうです。