バス事故の原因はブレーキやシフト操作に慣れていなかったから?

今回のスキーツアーバスの事故の原因は居眠り運転などではなく、運転ミスの可能性が高いそうです。
指摘されているのは
エアブレーキのエアが抜けている状態だった
フィンガーシフトに慣れていないためギアが入らずニュートラルになっていた
などがあります。

いずれも大型バス特有の機能なので、普通車を運転する限りでは同じ現象は起こりませんが、この2点について。

エアブレーキのエアが抜ける

空気ブレーキ、エアブレーキというのは、空気圧を利用したブレーキです。トラックやバスの近くを運転していると、プシューといういかにも空気が抜ける音が聞こえると思いますが、あれがエアブレーキをかけた時の音です。

タンクに圧縮空気を貯めて、その圧縮空気を使ってブレーキシリンダというのを動かします。
エアブレーキは使い方にコツというか、やってはいけない踏み方があり、それをバタ踏み操作と呼びます。
国土交通省の注意喚起がこれです。

www.mlit.go.jp


バタ踏み操作というのは、ブレーキを踏んだままにしたり、頻繁にバタバタ踏む操作を指します。バタ踏み操作をすると、空気圧がどんどん減って回復しないためブレーキが効かなくなります。停車中にブレーキを踏みっぱなしにしている事もあるかと思いますが、あれも空気圧が低下するためエアブレーキを利用する大型車では禁物です。
そのため大型車ではエンジンブレーキや排気ブレーキを利用して、空気圧が低くなりすぎないようにします。

今回の事故は大型車の運転に慣れていないためブレーキを使いすぎ空気圧が低下した、また空気圧を回復させるためには回転数を上げる必要があるのですが、下りでスピードが出てアクセルを踏めずに空気だけが抜けてブレーキが効かずに混乱した、という指摘です。

フィンガーシフトの操作

フィンガーシフトというのは大型バスに使われるシフトレバーです。路線バスにも使われていると思うので、見てみるとあれかとわかると思います。

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フィンガーシフトはシフト操作の負担を軽くするためのものですが、これも使い方にコツというか慣れが必要になります。MTはだいたいそうなんですが、フィンガーシフトの場合は特に回転数をあわせないとクラッチが繋がりません。また、5速や6速から一気に4速や3速などに落とすことはエンジンを保護するため出来ません。その場合はギアが入らずニュートラルになります。

つまりエンジンブレーキが効かない状態になり、下りのためどんどん加速してしまったのではないか?という指摘です。

実際、事故を起こしたバスはギアがニュートラルの状態であったと報じられています。

www3.nhk.or.jp


普通車も荷物を載せたりや人を乗せたりして重くなるほど下りで加速する実感はあると思いますが、普通車とは比べ物にならないくらい重い大型バスですから、ギアが入らないまま加速して混乱した可能性はあると思います。

エアブレーキとフィンガーシフトの操作に慣れていなかったのが原因である可能性は高いかもしれません。

普通車の場合

よく言われますが、普通車でもブレーキを踏みっぱなしにするとブレーキは効かなくなります。そのため長く続く下り道ではエンジンブレーキを上手く使うことが必要になります。
マニュアル車の場合は釈迦に説法なので省略しますが、AT車の場合はエンジンブレーキを使うことに慣れていないと思います。

ATの場合はDからシフトを落とす2とか1というのがDの下にあるのでそれを使います。CVTの場合はLやS というのがそれを使います。使ったことがない方は少し長い下り坂で一度試してみてください。
エンジンブレーキが上手く使えなくても、ブレーキを踏みっぱなしで坂を降りなければ、よほどの坂道でなければ問題ないのですが、下り坂はスピードが出て怖くなってブレーキを踏みっぱなしになる方もいるので、ブレーキの踏み方も普段から意識した方がいいかもしれません。

まとめ

今回の事故の原因はまだ確定していませんが、運転操作を誤った可能性があります。大型車だけでなく普通車であっても下り坂が続く山道はブレーキの使いすぎで事故を起こす可能性があります。エンジンブレーキを使い、ブレーキを踏みっぱなしにしないなど、注意が必要です。