1年中スタッドレスタイヤを履くとダメなのか

夏タイヤ冬タイヤを変えるのは面倒です。一年中使い続けてはダメなのでしょうか?
ダメ、とは言わないもののスタッドレスタイヤを夏使わない理由はいくつかあります。

1年中スタッドレスタイヤを使わない理由

燃費が悪い

スタッドレスタイヤは柔らかく、転がりにくい(止まりやすい)タイヤなので燃費が悪くなります。
感覚だと1割くらいは落ちるでしょうか。
エコタイヤなどと言われる燃費がいいタイヤは逆に転がりやすいタイヤです。
最近のスタッドレスタイヤは転がりやすく、なおかつ雪道でもしっかり止まるようになってきているので、スタッドレスに変えると極端に燃費が落ちるなら新しいものに変えてもいいかもしれません。
例えば、ヨコハマタイヤアイスガードファイブは従来モデルから転がり抵抗を5%改善しつつ、氷上での制動距離を8%短くしていると謳っています。


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雨の日に滑る

溝が深いので雨に強そうですが、スタッドレスタイヤは雨に弱いタイヤです。
スタッドレスタイヤは深いだけでなく、細かい切り込み(サイプ)が悪影響を与え、ハイドロプレーニング性能が悪化します。
スタッドレスタイヤに変えた直後、夏タイヤとおなじ感覚で雨の日に運転するとわかりやすいですね。
曲がる時にリアが滑ったり、制動距離が長くなるのは直ぐに実感できると思います。
冬なら慣れれば普通に運転できますが、夏は熱でタイヤが柔らかくなるため悪影響はさらに強くなるようです。
ブリジストンのサイトによれば、夏用タイヤの制動距離指数を100とした時、スタッドレスタイヤでは115となるそうです。
15%も制動距離が長くなるので、万が一の時は大きな差と言えます。

減りやすい

スタッドレスタイヤはツルツルで溝がほとんど無くなるまで履くようなタイヤではありませんが、夏用タイヤと比べると減りやすいようです。
ようです、というのは実際に1年中スタッドレスタイヤのまま走ったことがないのでよくわかりません。

一年中スタッドレスタイヤを使う人もいる

デメリットを理解しつつ、一年中スタッドレスタイヤを使い続ける人もいます。
一つは長距離トラックです。
短期間でタイヤを履きつぶすなら交換しないという考え方です。
夏タイヤ冬タイヤの2種類を用意すると保管場所も必要になりますし、保管方法も問題になります。
冬タイヤは暑い場所に置いておくとすぐに劣化するため、光が当たらない涼しい場所で保管する必要がありますが、沢山のトラックをかかえる運送会社では悩ましい問題です。
それならばいっそうのこと、冬タイヤのまま走ってしまえ、ということです。
一年で使いきって、11月頃に新しい冬タイヤに変えるケースが多いそうです。
他にも、最近ではオールシーズンタイヤを使う人が増えています。
夏、冬兼用のタイヤで、北海道や東北地方向けではなく、関東など年に一度、二度雪が降るかどうか、という地方向けのタイヤです。
毎年のように急な大雪があるので、いざという時のために選ばれています。

夏タイヤ冬タイヤの中間のようなタイヤなので、雪深いところは苦手ですし凍結路も苦手。通常の状態での性能では夏タイヤに及びませんが、2種類のタイヤを用意する必要はありません。
また、オールシーズンタイヤはM+Sというグレードなので高速道路のチェーン規制などでも通行することができます。
オールシーズンタイヤはヨーロッパでは多く使われていましたが、年に一度の大雪、なんてことが増えてくると日本でも普及するかもしれません。

ちなみに

スタッドレスタイヤは雪道や凍結した道路を走るためのもの、と考えられがちですが、雪がなくても凍結していなくても、気温が一桁になると通常のタイヤよりも性能はノーマルタイヤよりも上になるそうです。

寒くなるほどタイヤは硬くなるのでノーマルタイヤは寒くなるほどグリップが落ちていきます。レースではタイヤを温めますが、タイヤを温めるほど性能を発揮するからです。9度程度になるとノーマルタイヤは硬すぎて寒くても柔らかいスタッドレスタイヤよりも性能が低くなってしまうというわけです。

1年中スタッドレスは問題がありますが、寒いけど雪が降らないからといってノーマルタイヤを使い続けるのも問題があります。